プラント配管の3Dモデル化|スキャンから設計データ連携まで

プラント配管の3Dモデル化とは、3Dレーザースキャナで既存配管設備をスキャンし、点群データから配管の径・ルート・接続関係を3Dモデルとして再構築するプロセスです。干渉チェック工数を80%削減し、修繕工期を30%短縮した実績があります。本記事では、3Dスキャンから設計データ連携までの作業フロー、対応する設計ソフト・ファイル形式、費用と期間の目安をプラント設計・保全のエンジニア向けに解説します。
目次
配管3Dモデル化とは
配管3Dモデル化とは、プラントに敷設された既存の配管設備を3Dレーザースキャナで計測し、取得した点群データ(三次元座標点の集合体)から配管の径・ルート・接続関係・サポート位置を3次元のデジタルモデルとして再構築する技術です。
従来のプラント改修では、既存設備の現況把握に2D図面と現場目視に頼っていました。しかし、プラントは竣工後の改修・増設が繰り返されるため、図面と現況の不一致が常態化しています。3Dスキャンによるモデル化は、現場の「今」を正確にデジタルデータ化するため、図面不一致による設計手戻りを根本的に解消します。
配管3Dモデル化で取得・再構築する情報:
- ・配管径・肉厚:点群データから配管外径を自動抽出し、規格径(JIS/ANSI)を特定
- ・配管ルート:エルボ・ティー・レデューサなど継手の種類と接続関係をモデル化
- ・サポート・架台:配管支持構造物の位置と形状を3Dモデルに反映
- ・バルブ・機器:バルブ種類・機器ノズル位置を含む設備全体のモデル化に対応
3Dスキャンから設計データ連携までの流れ(5ステップ)
現地スキャンから設計ソフトへのデータ連携まで、5つのステップで作業を進めます。各ステップの内容と所要期間の目安を解説します。
現地調査・計測計画
対象エリアの図面確認(あれば)・現地踏査を行い、スキャナの設置位置・計測範囲・ターゲット配置を計画します。高所配管や狭所エリアのアクセス方法、プラント稼働中の安全対策も事前に確認します。所要期間:0.5〜1日。
3Dレーザースキャン(現地計測)
地上レーザースキャナ(FARO Focus / Leica RTC360等)を用いて、対象エリアを多方向からスキャンします。1スキャンあたり数百万点の座標データを取得し、配管の裏側・死角もカバーするために30〜100箇所から計測を実施します。所要期間:1〜3日。
点群データ処理(合成・クリーニング)
複数スキャンデータをレジストレーション(位置合わせ)で統合し、1つの高密度点群データを生成します。不要点(足場・仮設物・通行者)の除去、ノイズフィルタリングを行い、モデル化に最適な点群データを整備します。所要期間:2〜5日。
配管モデリング(3Dモデル構築)
処理済み点群データを基に、専用ソフト(EdgeWise / ClearEdge3D等)で配管を自動認識・モデル化します。自動抽出後に手動で精度検証・修正を行い、エルボ・ティー・バルブなどの継手情報を付与して設計データとして完成させます。所要期間:1〜3週間。
設計ソフト連携・納品
完成した3DモデルをPCF・IFC・RVM・STEP等のファイル形式でエクスポートし、お客様の設計ソフト(AutoCAD Plant 3D / AVEVA E3D / Navisworks等)にインポート可能な状態で納品します。干渉チェック用のNavisworksモデルも合わせて提供可能です。所要期間:2〜3日。
配管3Dモデル化の作業フローについて、詳しいご説明を承ります。
無料相談を申し込む対応する設計ソフトとファイル形式
配管3Dモデルは、お客様が使用する設計ソフトに合わせた形式で納品します。主要な対応ソフトと推奨ファイル形式を一覧にまとめました。
| 設計ソフト | 主な用途 | 推奨形式 | 備考 |
|---|---|---|---|
| AutoCAD Plant 3D | 配管設計・アイソメ図作成 | PCF, IDF | 配管スペック情報を保持 |
| AVEVA E3D / PDMS | 大規模プラント設計 | RVM, DATAL | 属性情報の一括連携が可能 |
| Autodesk Navisworks | 干渉チェック・4Dシミュレーション | NWC, NWD, FBX | 点群との重畳表示に対応 |
| Autodesk Revit | BIMモデリング・設備設計 | IFC, RCP | MEP機能で配管モデリング |
| Bentley OpenPlant | 配管・機器レイアウト設計 | STEP, IGES | iModel連携に対応 |
| Intergraph Smart 3D | 統合プラント設計 | STEP, SAT | 大規模データに対応 |
納品形式について:上記以外のソフトウェア・ファイル形式にも対応可能です。納品前にお客様のソフトウェア環境を確認し、最適な形式をご提案します。点群データ(E57/LAS)と3Dモデルデータのセット納品が標準です。
配管3Dモデル化の4つのメリット
プラント配管の3Dモデル化を導入することで、設計・施工・保全の各フェーズで具体的な効果が得られます。
干渉チェック工数を80%削減
3Dモデル上で配管・ダクト・鉄骨・機器の干渉(ぶつかり)を自動検出できるため、従来の現場目視+図面突合による確認作業が不要になります。Navisworksによるクラッシュ検出を活用すれば、数千箇所の干渉チェックを数時間で完了できます。
修繕・改修工期を30%短縮
既存設備の正確な3Dモデルがあることで、新規配管のルート設計を事前にデスクトップ上で完結できます。現場合わせによる手戻り工事を排除し、プレファブ配管の精度も向上するため、トータル工期を30%短縮した実績があります。
図面不一致リスクの解消
プラントは竣工後の改修・増設で図面と現況の不一致が蓄積されます。3Dスキャンは現場の「今」を直接計測するため、図面の有無や精度に依存しません。As-Built(現況)モデルとして、以降の改修計画の基盤データになります。
設備台帳・デジタルツインへの展開
3Dモデルに配管仕様(径・材質・保温厚)、バルブ情報、機器番号などの属性を付与することで、設備台帳のデジタル化が実現します。プラント全体のデジタルツイン構築の基盤として、予防保全や設備ライフサイクル管理に活用できます。
費用と期間の目安
配管3Dモデル化の費用は、対象エリアの広さ・配管密度・モデル化の精度要件により変動します。代表的な規模別の目安を下表にまとめました。
| 規模 | 配管延長 | スキャン日数 | モデル化期間 | 費用目安 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模 | 〜200m | 1日 | 1〜2週間 | 80〜150万円 |
| 中規模 | 200〜500m | 1〜2日 | 2〜3週間 | 150〜350万円 |
| 大規模 | 500〜1,000m | 2〜3日 | 3〜6週間 | 350〜700万円 |
| 超大規模 | 1,000m以上 | 3〜5日 | 6〜10週間 | 700万円〜 |
費用変動の要因:配管密度(本数/㎡)、高所・狭所の割合、モデル化の詳細度(LOD200〜LOD400)、属性情報の付与範囲により費用が変動します。正式なお見積もりは現地調査後にご提示しますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
事例紹介
化学プラント|配管改修に伴う既存設備の3Dモデル化
課題:築30年の化学プラントで配管改修を計画していたが、過去の増設・改修で図面と現況が大幅に不一致。現場目視による干渉確認に多大な工数がかかり、手戻り工事が頻発していた。
対応:対象エリア(配管延長約400m)を3Dレーザースキャナで計測し、点群データから配管・バルブ・サポートを含む3Dモデルを構築。Navisworksで新規配管設計との干渉チェックを実施。
成果:干渉チェック工数を80%削減(従来40人日→8人日)、手戻り工事ゼロを達成し、トータル修繕工期を30%短縮。As-Builtモデルは以降の保全計画にも活用。
よくある質問
Q. プラント配管の3Dモデル化にはどれくらいの期間がかかりますか?
配管延長500m以下の標準的な案件で、現地スキャン1〜2日・データ処理およびモデル化2〜3週間・検収1週間の合計3〜4週間が目安です。配管延長1,000m以上や高密度エリアでは6〜8週間かかる場合があります。
Q. 既存の2D図面がなくても3Dモデル化は可能ですか?
可能です。3Dレーザースキャナで現状を直接計測するため、図面が存在しない・図面と現況が異なるケースでも正確な3Dモデルを作成できます。むしろ図面がない設備こそ3Dスキャンによるモデル化の効果が大きく、弊社では図面なし案件の実績も多数あります。
Q. 配管の3Dモデルはどの設計ソフトで使用できますか?
AutoCAD Plant 3D、AVEVA E3D、Autodesk Navisworks、Revitなど主要なプラント設計ソフトに対応しています。納品形式はPCF、IFC、RVM、STEP、IGESなど、お客様のソフトウェア環境に合わせて選定します。
まとめ
プラント配管の3Dモデル化は、既存設備を3Dレーザースキャナで正確に計測し、設計ソフトで活用できる3Dモデルとして再構築する技術です。図面と現況の不一致を解消し、設計・施工・保全の各フェーズで大幅な効率化を実現します。
この記事のポイント:
- ・ 配管3Dモデル化は、3Dスキャン→点群処理→モデリング→設計ソフト連携の5ステップで実施
- ・ AutoCAD Plant 3D・AVEVA E3D・Navisworks等の主要設計ソフトに対応した形式で納品
- ・ 干渉チェック工数80%削減、修繕工期30%短縮の実績あり
- ・ 図面がない・図面と現況が異なるケースでも3Dスキャンにより正確にモデル化が可能
- ・ 費用目安は配管延長200m以下で80〜150万円、中規模(200〜500m)で150〜350万円
弊社では、プラント配管の3Dスキャンからモデル化・設計データ連携までワンストップで対応しています。配管改修・増設計画の基盤データとして、まずは対象エリアの3Dスキャンからご検討ください。
プラント配管の3Dモデル化のご相談はお気軽に
「対象エリアの規模感を伝えて概算が知りたい」「図面がない設備でも対応できるか確認したい」という段階でも大丈夫です。まずはお気軽にご相談ください。
