株式会社 Survey Solution
BLOG

ブログ

比較解説

ドローン測量 vs 地上レーザースキャン|精度・コスト・用途の違い

ドローン測量と地上レーザースキャンの比較

ドローン測量は広域(1ha以上)の地形計測に強く、費用20万円〜、精度±2〜5cm。地上レーザースキャンは建物・構造物の高精度計測に強く、費用30万円〜、精度±1〜3mm。どちらが優れているかではなく、現場条件と精度要件で使い分けるのが最適解です。本記事では、3D測量の専門家の視点から両手法の違いを精度・コスト・速度・対応現場の4軸で徹底比較し、現場責任者が最適な手法を選定できるよう解説します。

それぞれの基本的な仕組み

ドローン測量と地上レーザースキャンは、3Dデータを取得するという目的は同じですが、計測原理が根本的に異なります。

ドローン測量の仕組み|フォトグラメトリ

ドローンに搭載したカメラで上空から大量の写真(200〜500枚以上)を撮影し、フォトグラメトリ(写真測量)技術で3Dモデルを生成します。複数の写真に写った同一地点を自動認識し、三角測量の原理で三次元座標を算出します。GCP(地上基準点)を設置することで、精度±2〜5cmのオルソ画像・DSM(数値表面モデル)・点群データを作成できます。

原理:フォトグラメトリ(写真測量)取得データ:オルソ画像・DSM・点群

地上レーザースキャンの仕組み|ToF / 位相差方式

三脚に設置した3Dレーザースキャナからレーザー光を360度に照射し、反射光の戻り時間(ToF:Time of Flight)または位相差で距離を計測します。1秒間に最大200万点の座標を取得し、対象物を高密度な点群データとして記録します。ToF方式は長距離(最大350m)に強く、位相差方式は近距離(100m以内)で高速・高密度な計測が可能です。

原理:ToF / 位相差レーザー計測取得データ:高密度点群(±1〜3mm)

精度で比較する

精度面では地上レーザースキャンが優位です。水平精度・垂直精度・点密度の3指標で比較します。

精度指標ドローン測量地上レーザースキャン
水平精度±2〜5cm(GCP使用時)±1〜3mm
垂直精度±3〜10cm±1〜3mm
点密度数十〜数百点/m2数千〜数万点/m2
精度の安定性気象条件・飛行高度に依存環境条件の影響が小さい
精度保証範囲対地高度50〜150m推奨スキャナから100m以内が最適

ポイント:土木現場の出来形管理(i-Construction基準)では±5cmの精度で十分な場合が多く、ドローン測量で対応可能です。一方、建築の竣工図作成やプラントの配管モデリングではmm単位の精度が求められるため、地上レーザースキャンが必須となります。

コストで比較する

費用は対象面積によって逆転します。広域ではドローン、狭域・高精度では地上レーザーのコストパフォーマンスが優れます。

対象面積ドローン測量(税別)地上レーザー(税別)推奨手法
500m2未満15〜25万円30〜50万円規模による
500m2〜1ha20〜40万円50〜100万円ドローン有利
1〜5ha30〜60万円100〜300万円ドローン有利
5ha以上50〜100万円300万円〜ドローン有利
建物1棟(延床1,000m2)対応困難50〜80万円地上レーザー
プラント設備対応困難80〜200万円地上レーザー

注意:上記は計測・データ処理費の概算です。成果物(CAD図面、BIMモデル等)の作成費は別途発生します。正確な費用は現場条件・精度要件・納品物により異なるため、個別見積もりをご依頼ください。

具体的な費用を知りたい方へ。現場条件に応じた最適プランと概算費用をご提案します。

無料相談を申し込む

計測速度・効率で比較する

計測速度ではドローンが圧倒的に有利です。ただし、データ処理時間を含めたトータル工数は用途によって異なります。

比較項目ドローン測量地上レーザースキャン
1haあたりの現場作業15〜30分(1フライト)2〜4時間(4〜8スキャン)
5haの現場作業1〜2時間1〜2日
データ処理時間数時間〜1日数時間〜1日
必要人数1〜2名1〜2名
段取り・設置時間10〜20分30〜60分/スキャン地点

対応できる現場条件で比較する

現場条件の対応力は地上レーザーの方が幅広いです。ドローンは屋外の広域地形に特化し、地上レーザーは屋内外を問わず対応できます。

現場条件ドローン地上レーザー
屋外・広域地形
屋内×
雨天・強風時×
DID(人口集中地区)△(飛行許可必要)
建物外壁・屋根
トンネル・地下空間×
植生が多い場所
狭所・配管内部×

飛行規制について:2022年12月の航空法改正(レベル4飛行解禁)以降もDID上空や夜間飛行には国土交通省の許可・承認が必要です。弊社はすべての飛行許可を取得した上で業務を実施しています。

総合比較表

ここまでの比較内容を総合的に整理します。

比較項目ドローン測量地上レーザースキャン
計測原理フォトグラメトリToF / 位相差レーザー
精度±2〜5cm±1〜3mm
点密度数十〜数百点/m2数千〜数万点/m2
費用目安20万円〜30万円〜
得意な対象広域地形(1ha以上)建物・構造物・プラント
現場作業時間短い(分単位/ha)長い(時間単位/ha)
天候制限雨天・強風は不可ほぼ制限なし
屋内対応不可対応可
法的規制航空法の飛行許可が必要特になし
成果物オルソ画像・DSM・点群高密度点群・3Dモデル

ドローン測量が最適な5つのケース

以下のケースではドローン測量のコストパフォーマンスと効率が優れます。

1

1ha以上の造成地・土木現場の地形測量

広大な敷地の現況測量・土量計算に最適です。1フライト15〜30分で10ha以上の範囲をカバーでき、従来の地上測量と比べて工期を大幅に短縮します。

2

定期的な進捗管理・出来形管理

i-Constructionの出来形管理要領に対応した精度(±5cm以内)で計測できます。毎月の進捗確認を低コスト・短時間で実施可能です。

3

法面・急斜面の地形計測

人が立ち入りにくい法面や急斜面を、上空から安全に計測できます。崩壊リスクの高い斜面の現況把握や、のり面保護工の出来形管理に適しています。

4

災害現場の緊急測量

土砂崩れ・浸水被害の現場を迅速に3Dデータ化できます。被災直後でも上空からアクセスでき、被害範囲と土量の把握を短時間で実施します。

5

太陽光発電所の設計・管理

広大な用地の地形データを取得し、パネル配置の最適設計に活用できます。施工後の定期点検(パネルの傾き・破損確認)にも有効です。

地上レーザーが最適な5つのケース

以下のケースでは地上レーザースキャンの精度と対応力が求められます。

1

建物の竣工図・現況図の作成

±1〜3mmの精度で建物の内外を計測し、正確な竣工図面やBIMモデルを作成します。リノベーション前の既存建物の現況把握にも欠かせません。

2

プラント・工場の配管3Dモデル化

複雑に入り組んだ配管・設備をmmの精度で3Dモデル化し、干渉チェックや増設設計に活用します。図面がない既存設備のデジタルツイン構築に最適です。

3

トンネル・地下構造物の計測

ドローンが飛行できない屋内空間や地下構造物を高精度に計測できます。トンネルの覆工コンクリートの変位計測や断面形状の把握に使用されます。

4

文化財・歴史的建造物のデジタル記録

彫刻や装飾の細部まで忠実に3Dデータ化し、デジタルアーカイブを構築します。修復計画の基礎資料やVR展示用データの作成にも対応します。

5

橋梁・インフラ構造物の点検

橋梁の桁下やコンクリート表面のひび割れをmmレベルで記録し、経年変化を定量的に管理します。点検データの蓄積により、維持管理計画の精度が向上します。

併用が効果的なケース

ドローンと地上レーザーの併用は、広域性と高精度を両立させたい場合に効果的です。弊社でも併用提案を行うケースが増えています。

事例1:大規模造成現場の全体管理

10ha規模の造成現場で、広域の地形変化をドローンで毎月モニタリングし、擁壁や構造物の出来形を地上レーザーで高精度に計測します。広域データと詳細データを統合することで、現場全体の進捗を一元管理できます。

事例2:工場敷地全体の現況測量

工場敷地の外構・道路・緑地をドローンで計測し、建屋内部・設備・配管を地上レーザーでスキャンします。屋外と屋内のデータを統合し、敷地全体のデジタルツインを構築した事例では、増設計画の検討期間を従来の半分に短縮できました。

事例3:河川護岸工事の施工管理

河川の広域地形(水際から堤防まで)をドローンで計測し、護岸ブロックの据付精度を地上レーザーで検証します。工期全体を通じて、広域の土量管理と構造物の品質管理を同時に実現します。

よくある質問

Q. ドローン測量と地上レーザースキャンはどちらが精度が高いですか?

地上レーザースキャンの方が精度は高く、±1〜3mmの計測精度を実現します。ドローン測量は±2〜5cm程度です。ただし、土木の出来形管理など±5cmで十分な用途ではドローン測量のコストパフォーマンスが優れます。精度要件に応じた選定が重要です。

Q. ドローン測量と地上レーザーの費用差はどのくらいですか?

ドローン測量は20万円〜、地上レーザースキャンは30万円〜が目安です。1ha以上の広域地形ではドローンの費用対効果が高く、建物1棟の高精度計測では地上レーザーが適しています。正確な費用は現場条件により異なるため、無料見積もりをご利用ください。

Q. ドローン測量と地上レーザーを併用するメリットはありますか?

はい、併用は効果的です。広域の地形データをドローンで効率的に取得し、構造物の詳細を地上レーザーで補完することで、広範囲かつ高精度なデータを取得できます。大規模造成現場や工場全体の現況測量で多く採用されています。

まとめ

ドローン測量と地上レーザースキャンは、それぞれ異なる強みを持つ測量手法です。どちらが優れているかではなく、現場条件と精度要件に応じて最適な手法を選定することが、コスト削減と品質確保の鍵となります。

この記事のポイント:

  • ドローン測量は広域地形(1ha以上)の計測に強く、費用20万円〜、精度±2〜5cm
  • 地上レーザーは建物・構造物の高精度計測に強く、費用30万円〜、精度±1〜3mm
  • 1haを超える現場ではドローン、mm精度が必要な現場では地上レーザーが最適
  • 大規模現場や屋内外を含む案件では併用が効果的
  • 最適な手法は現場条件・精度要件・予算の3つで判断する

測量手法の選定でお悩みの方は、現場の状況をお聞かせください。3D測量の専門家が最適な計測プランと概算費用をご提案します。

測量手法の選定でお悩みですか?

「ドローンと地上レーザーどちらが適切か分からない」という段階でも大丈夫です。現場条件をお聞かせいただければ、最適な計測プランをご提案します。