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3D測量で出来ることは?方法、メリット、活用場所も併せて紹介!

3D測量で出来ることは?方法、メリット、活用場所も併せて紹介!

3D測量は、土地や建物、構造物に潜むさまざまな問題点、悩みの解消に役立つものです。地形データを取得するにあたって、いまや必須の手段といっても過言ではないでしょう。

一方で、3D測量が出来ることの多さに気付かれていない方もまだまだいらっしゃる印象です。

本記事では、基礎知識にはじまり、具体的な方法、メリット、実際に使われている場所に至るまで幅広くご紹介します。
ぜひ、3D測量の魅力やこれまで知り得なかった情報に触れ、今後へのさらなる期待、可能性を見出してもらえると幸いです。

それでは、どうぞご一読ください。

3D測量とは?

3D測量に関するイメージ
3D測量は、土地や建物、構造物を立体的にデータ化するためのものです。

従来の測量では、距離と角度のみを1点ずつはかる測量機器が使われ、計測された各箇所(点)を平面的に結び二次元の図面として作成したものが地形データとして扱われています。もちろん高さデータも測量により取得できますが、1点ずつのデータになります。この方式が、あらゆる建設現場において主流であるといえます。

3D測量が登場してからは、無数の三次元のデータが取得できるようになりました。
高密度な点の群れが、さながら面と化し、直感的に地形や構造物を把握することを可能にしたのです。

上記の通り、二次元の単点接合から三次元の面的モデルへと、取得されるデータのメインは移り変わりつつあります。
そして現在、多くの場所で3D測量は重宝されています。

3D測量の方法と主な手段

3D測量によるデータ解析
3D測量は専用の機器を用いて行われます。それらによって対象物の周囲や断面、距離、体積、形状変位や等高線などを微細に把握することが可能です。
本章では、そうした3D測量の代表的なツールをご紹介します。

レーザースキャナでの3D測量

レーザースキャナは、対象物にレーザー光を投射し、1秒間に数十万~数百万点の情報を取得します。橋梁やダム、河川敷線路など巨大で複雑な構造物に対しても、広範囲にわたってスキャンできるすぐれものです。また地上に設置して使用することから、木の下や建物の内部なども測量することができます。

レーザースキャナが取得する情報は、位置情報(X・Y・Z座標)と色情報(RGB)です。その二つの情報をもつ点がたくさん集まると、一つひとつは点でも遠くから見れば形を作り、また色もついていることから物を立体的に表現することができます。テレビの画像が点の集まりで表現しているのと同じです。

機械の種類もさまざまです。
スタンダードな設置型をはじめ、人が背負うタイプの移動式や車や船に搭載できるものまであります。
設置型スキャナは何と言っても精度が高いです。高い精度を求めるのであればスキャン時間がかかっても設置型スキャナがよいと思います。
搭載型は、走りながら測量することが可能です。俗に「MMS(Mobile Mapping System=モービルマッピングシステム)」と呼ばれます。時速40キロメートルほどの速度で走りスキャンします。広大な街をスキャンする場合にはもってこいです。
水中での計測が実行できるグリーンレーザー型スキャナも3D測量の可能性を広げたといっていいでしょう。船に取り付けてスキャンします。
人が背負うタイプのスキャナは点群の精度は設置型スキャナに比べ劣りますが、森の中や設置型のスキャナが置くことができないあわただしい工事現場などで活躍します。また背負うのではなく、気軽に手に持って歩き回るだけでスキャンできるタイプのスキャナも登場しています。

ドローンでの3D測量

ドローンで3D測量を行うことも少なくありません。
方法は二つ。ひとつはドローンにカメラを搭載し、上空から対象物(対象地)の写真を大量に撮影した後、写真を合成、位置情報を与えたうえで画像を解析し、3Dモデル化を行います。
その3Dデータを使って図面を作成していきます。
もう一つはドローンにレーザースキャナを積んで測量を行う方法です。

現在はドローンに積めるレーザースキャナがまだ高額なため、写真による測量が一般的です。ただドローンが飛ばせる地域が限られているため、あらゆる場所で使えるかと言えばそうではありません。また空から撮った写真をデータ化するため、例えば木の下や、橋の下、建物内部は測量することができません。

ドローンは人の入れない地域や危険な場所に簡単に行けるため、災害現場や、工事現場において撮影、3D化することで判断の迅速化、業務の効率化、コスト削減、安全強化につなげることができます。

3D測量のメリットと精度の高さ

3D測量の試行の様子
ここまですでに、その有用性や魅力の片鱗は垣間見えているかもしれませんが、本章にて、あらためて3D測量のメリットと精度の高さをお伝えします。

まずはやはり、対応できる領域が広範囲に及ぶことでしょう。触れることのできない物や近寄れない場所での測量を可能にしている点は、確実にメリットだといえます。
車道、トンネル、地下、災害の発生した場所、建物の内部、天井裏……等々、簡単には行けない場所でもまた危険区域さえ安全を確保したまま計測できるわけです。

最小限の人員で短時間のうちに実施できる点も3D測量ならではのメリットです。
信頼に足る技術があるからこそ、安全管理のためにわざわざ道路規制やガードマンを雇う必要はありません。また高さのある建物においても、わざわざ足場を組む必要はないのです。こうしたコストダウンによって、オーダーする側も従来に比べリーズナブルに依頼ができます。

さらに特筆すべきは、デジタルデータとして取得できること。それによって利便性が優れると同時にさまざまな付加価値へとつながっていきます。
アプリで実写のごとく再現したり、CADソフトや3Dアプリにインポートすることで容易に解析ができたりする点は、とりわけ大きな特長でしょう。3D測量は、各方面におけるテクノロジーの進化とも親和性が高く、得られる素材が最大限生かされやすいといえます。

そのほか、歴史的建築物や重要文化財といった過去の遺産を補修する際にも有効です。加えて、図面のない設備や建物に対しても、高密度・高精度の情報を収集できるため、メンテナンスはもちろんリニューアルさえ可能にします。

上記を踏まえ、3D測量は、あらゆる側面において従来の方式に比べアドバンテージを持つ技術です。いうなれば、そのこと自体メリットであり価値や魅力と捉えてもいいでしょう。

3D測量が行われている場所

3D測量の行われた地表図
3D測量は先述した通り、さまざまな場所で活用・重用されている技術といっても過言ではありません。
以下、普段なかなか気付くことのないような場所も含めてご紹介し、3D測量の躍動ぶりをお伝えします。

住宅

快適な暮らしを後押しすべく、住宅まわりの配置や傾斜計測に3D測量は役立ちます。
自身の住まいに対して、建物の安定性もさることながら、窓から外の景色がどう見えるか、はたまた、隣接する家からはどう見られるかは、誰しもが気になるところでしょう。
事前に三次元のデータでシミュレーションできれば、不安は少なからず軽減できるはずです。
そのほか、思い入れのある家屋を取り壊さなければならないといった名残惜しい局面に立たされた際には、3D測量からの模型化やVRデータへの落とし込みもおすすめ。ジオラマ上、あるいは仮想世界にて、愛着のある自宅は残り続けることになります。

工場

大掛かりな作業を行う工場において、建物や設備の安全確保は必須です。複雑に入り組んだ配管の干渉や形状、溶接間距離、軸となる柱の傾き……等々、きちんと把握しなければたちまち大事故につながる恐れがあります。また新しい設備を導入する際にその設備がきちんと収まるか、また設備設置場所に新しい設備を入り口から移動させる際に既存の設備が邪魔にならないのか事前にシュミレーションすることもできます。

遺跡

遺跡調査にも3D測量は用いられます。
あらゆる遺構や遺物のデータを出土層位ごとに計測することが可能です。そうやって取得した三次元のデータによって、エレベーション(建物の外観を示す立面図)の作成が行えます。分析や考証にはうってつけの材料といえるでしょう。
なお、そこから考古学や地形学を踏まえたうえで、時系列を判別することもできます。

歴史的建造物

歴史的建造物の調査にも3D測量は用いられます。
例えば建物補修の計画図面の作成にあたって使われます。通常であれば足場を組み、人が巻き尺をもって柱の大きさや位置を一つずつ確認し図面を作っていくのですが、3Dスキャナを使えば足場を設置する必要もなく、現場で図面を作ることなく、短時間、低コストで建物を丸ごとデータ化することができるので、事務所に帰ってから落ち着いて図面化することができます。また災害によって歴史的建造物が壊れたり失われたりした場合に、復元をするためにデータを保存することができます。火災によって失われたノートルダム大聖堂の復元にあたり3Dデータを活用していることは皆様の記憶にあるかと思います。

森林

かつては、人が右往左往し調査していた森林区域ですが、やはり安全面や正確性に課題を抱え、何より重労働であったため、近年は3D測量へと切り替わりつつあります。

主に使われているのはドローンです。効率化や精度向上に大きく貢献しているといえるでしょう。ただドローンによる写真測量では森の表面しか測量することができません。レーザー測量であれば地表面を測量することができます。
新しく出てきた背負うスキャナであれば森の中を歩くだけでデータを取ることができます。地表面のデータはもちろんのこと、木の位置や太さまで知ることができます。それにより森林台帳を作ることが可能なのです。

土砂災害警戒区域

該当する区域内はまさに危険箇所。立ち入らずに計測し、なおかつコストを抑え効率的に現状の詳細な地形データを得るには3D測量が最善策です。3Dデータから断面図を作成することもできますし、現場に行かなくともあたかも現場を目の前にして擁壁を設置するためのシミュレーション、打合せが事務所内でできるのです。またわざわざ多くの人が一つの場所に集まらなくともネットを介して打合せができることも有意義です。

堤防

気候変動や異常気象を発端に堤防調査が盛んに行われている昨今。その方法もまた3D測量であることが多いです。
主に使われるツールはMMS。搭載型の機器を走らせることで堤防の状態を広くスキャンしデータを取得することができます。

決壊などの外水氾濫による被害を防ぐためにも、堤防の点検はどうしたって重要です。
したがって、3D測量での観測は、非常に有意義なものだと位置づけることができます。

3D測量の可能性

3D測量が持つ可能性の表象
本記事でお伝えしてきた通り、3D測量は日常のいたるところで求められ、機能してきています。国土交通省では東京都だけですが、PLATEAUという3D都市モデルをオープンデータとして整備し、だれもが自由に活用できるようにしています。静岡県でも3Dデータをオープンデータとして公開し、土木や街づくりに活躍しています。
このように3Dデータは本当に身近になってきました。専門家しか扱えるデータではなく、だれもが扱えるデータになってきています。
例えば3Dデータを俯瞰的に見ることで、今まで気が付かなかったことがわかるかもしれません。実は自分の家は水が溜まりやすい窪地に建っていたなどです。またふとした疑問が解決してしまうかもしれません。お隣からはどのように家の中が見えてしまうのだろうといったことです。新しい価値を見つけることもできるかもしれません。自分の家はどれだけの日照時間があり、太陽光発電をすれば効率が高いといったことです。
このようなことを実現するためにも3D測量の価値はあり、その可能性は今後も広がり続けます。